2023年度の事業紹介

2023年度理事長 
椎木 謙太 Kenta Shiigi

基本方針

  1. 青年会議所の存在意義・理念の再確認
  2. 「知る」という知的好奇心が運動の起源となる
  3. 青年会議所を知ることから始まり、勧誘ではなく定着が終着点となる拡大活動
  4. 山口ブロック協議会を通じた同志との絆の構築
はじめに
青年会議所は、若き能動的市民のネットワークをけん引することを目的(Vision)に掲げ、会員や市民がより良い変化(Positive Change)を実現できる力を獲得できるよう、発展と成長の機会の提供(事業)を使命(Mission)としています。そして、会員には、青年会議所から提供される機会を通じ、明るい豊かな社会の実現を担う人財となることを願っています。
 これら青年会議所の理念は、徳山青年会議所46年、下松青年会議所37年、周南青年会議所20年の歴史における諸先輩方の想いや絶えまぬ努力のおかげで、現在も引き継がれ、我々も、これらを未来に引き継いでいかなければなりません。
近年、新型感染症の影響で、各地域で新たな社会課題が浮き彫りになってきました。そして、これらの課題が解決しないことに人々は疲弊し、いつしか「新型感染症が蔓延しているから何も出来なくてもしょうがない」といった諦めの風潮が広がりつつあります。
しかし、青年会議所は、これまで、第二次世界大戦の敗戦、オイルショック、バブル崩壊、阪神・淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災といった悲劇的な出来事が起きている中、地域や市民のために事業を行い続け、人々の希望の創出に尽力してきました。現在の社会情勢だからこそ、青年会議所でしかできないこと、すなわち、率先して機会の提供を行い、明るい豊かな社会の実現に寄与し続けなければなりません。
そのためには、会員は、過去の伝統を形だけ引き継ぐのではなく、伝統が築き上げられた背景や目的に想いを馳せながら、時代に適した選択を行い、伝統と革新の融合を目指していかなければなりません。
スローガンについて
明るい豊かな社会の実現のために不可欠なことは、地域課題の解決です。地域課題の解決とは、地域で起きている現象の対症療法をするのではなく、原因療法(ここでいう原因療法とは、現象の原因を探求し、背景にある地域の社会構造や仕組みの一つを課題と設定し、限りある予算と人員で、最大効果のある事業を行うことを意味します。)を行わなければいけません。つまり、おなかがすいている子どもに、お菓子を渡して満足させることを最終の目的とするわけではなく、なぜおなかがすいているのか、なぜ子どもに食料が渡されていないのか、現象の背景には何があったのかを考え、同じ思いをさせないためなにをすべきなのかを考え行動することで、地域課題は解決に向かいます。
ただ、地域課題の解決には、覚悟が必要です。客観的に地域の構造や仕組みに課題があることが明らかであっても、そこで暮らしている人たちは課題とすら認識していないことがあります。このような状況下において、誰かが先陣をきって社会構造や仕組みにメスをいれようとしても、理解や共感を得られず、ときには反発を受けることもあります。ひょっとするとリーダーは、夜、漆黒の海の中を航海するような絶望に陥り、歩みを止めてしまうかもしれません。
そんな中、私が掛け続けられる言葉が1つだけあります。「Just do it !!」
「Just do it !!」とは、「とにかくやろう!」、「行動に出よう!」という意味で、会員に対し示す灯台の光です。何かを変えるということは簡単ではありませんが、行動をとり続けていれば、当初難色を示していた方にも想いが伝播し、理解や共感を生み、ときには強力なパートナーになってくれることを私は知っています。
青年経済人である会員には、自分の信念に従いやりとげてほしい、自分の頭の中で始まった想いを、具現化し、会員、地域の市民などの人を巻き込むカタチにしていってほしい。そして、挑戦する人に対し、一緒に寄り添える優しい組織であってほしい。このような想いで、スローガンを「Just do it !!~想いをカタチに~」としました。
「知る」ことから始まる青年会議所運動
「Just do it !!」と掲げましたが、闇雲に動くことを目指しているわけではありません。青年会議所運動が地域課題の解決と効果的に結びつくためには、人を知り、仲間を知り、地域を知り、歴史や文化を知り、反対意見に耳を傾けるというバランス感覚が不可欠です。各委員会の設立の背景には、会員や市民に対し、知らない情報を知ってほしいというだけでなく、間違って認識している情報を正しく把握しアウトプットしてほしいという、私の願いが込められています。無限に近い情報の中から、何が正確な情報なのか判断した上で、勇気ある最初の一歩を踏み出すことが、青年会議所及び会員には求められています。
人を「知る」ための福祉事業
①融通が利かない、こだわりが強い、②ケアレスミスが多い、片付けや整理整頓が苦手、約束や時間を守るのが苦手。これらの感情が、自分、家族、従業員に向けられたことはないでしょうか?努力したらよくなる、努力が足りないから出来ないんだ、と思ったことはないでしょうか?目の前で起きている現象は、能力や精神論の問題ではなく、発達障がい(自閉症スペクトラム、注意欠如・多動性障がい(ADHD)等)に起因しているかもと思ったことはありますか?
発達障がいのある人の早期発見と支援を目的として、平成16年に「発達障害支援法」が制定され、現在まで国、県、市が各種体制整備を進めてきていますが、発達障がいの定義や特性の正確な理解が大人たちに広まっているとはいえません。
発達障がいは個性です。個性に環境をマッチさせれば、目の前の人はチームに欠かせない存在となります。ひょっとすると、人を感動させ、歴史に名を残す作品を生み出すかもしれません。しかし、個性として把握されず、寄り添う環境もないと、いじめ、差別、離職につながり、最悪の場合には、不安障がい、睡眠障がい、うつ病等の二次的被害につながることもあります。
私は、個人の尊厳を重んじる社会であり続けたいと思っています。この社会の実現のためには、自分や目の前の人に真摯に向きあい、正確な理解のもと、接していくべきだと考えています。①は、見方を変えれば、ぶれない、一つのことをコツコツ集中できるという長所です。②は、活動力がある、決断力が優れている、発想力があると評価できます。本年は、発達障がいについて正確な理解を広め、個性に応じた環境づくりが出来る人を増やし、人にやさしい社会を実現します。
自分たちがまちの主役であることを「知る」ための主権者教育事業
選挙制度は、民主主義の根幹であり、まちに住む人たちが夢を語り合い、進む道を決めることができる大事な手段の一つです。
しかし、直近の市長選、市議会選の投票率は50%未満であり、かつ、各選挙とも投票率も減少しています。市政への無関心は、日本国憲法制定当時に望まれていたものではなく(憲法93条2項参照)、このような現象が続けば、主役不在の中、子どもたちやまちの未来が決まることとなりかねません。
まちの未来は、自分たちにしか決められません。未来は、突然決まるのではなく、今この瞬間の一生懸命が積み重なり、創り上げていけるものです。結果も大事ですが、それよりも、過程に多くの意思や意見が出されることが重要です。
我々は、無関心を関心に変え、人が集まれば自然と地域のことを語り合えるひとづくり、そしてそのようなひとづくりを通じて、市民が主役となるまちづくりを実現します。
会員を「知る」ための例会事業等
会員の半数以上は、入会3年以内の会員です。
近年は、新型感染症の蔓延により、例会の開催も危ぶまれ、現地開催だけではなく、Web会議システム、ハイブリッド形式での開催も多々ありました。
例会は、月に1回会員と顔を合わせ仲間との絆を再確認する場であり、会の方針や現状を共有する場でもあります。このように例会は、青年会議所の目的(Vision)達成のために不可欠な機会です。近年の社会情勢において、例会の意義や運営の仕方を模索しなければならず、時には従来の作法を思い切って変更しなければならない場面にも直面してきました。このような状況において、我々は、例会の意義や作法・ルールが出来上がった背景を再確認し、時代に即した例会の企画・運営を実現していかなければなりません。
また、本年は8名もの卒会生がいます。これまで、明るい豊かな社会の実現のため尽力された卒会生には、最後の運動として、青年会議所の未来を担う会員に対し伝統や想いの伝播をお願いするとともに、これから会社・地域のリーダーとして活躍する卒会生に対し盛大なはなむけの機会を設けなければなりません。
何が正しい情報なのかを「知る」ためのリテラシー向上事業
まず、「リテラシー」とは、適切に理解、解釈、分析(インプット)し、改めて記述、表現(アウトプット)することを意味します。
近年、Instagram、Twitter、Facebook等SNSを通じて、情報を収集するだけでなく発信することが容易な社会となりました。他方、これらのツールを使って人を傷つけることも容易となりました。現に、新型感染症の拡大に伴い、り患者の個人情報や企業名、根拠のない風評、こころない言葉を安易に広げる文化も蔓延しました。明るい豊かな社会を実現するため、個人が情報の信ぴょう性を判断し、時・場所・目的に応じた表現を決断する能力(メディアリテラシー)を向上させる必要があります。
また、バブル崩壊、リーマンショック等金融不安が広がる度に、金儲けが悪であるという文化が再浮上しつつあります。投資に関して、自己責任の範囲で行うべきものですが、現代社会において「行わない」という判断は、正確な情報に基づくものであるのか、周囲に流される思考停止の状態なのかと問われれば、後者が多いのではないでしょうか。制度設立の経緯やシステムの正確な理解(金融リテラシー)を通じて、悔いのない判断を積み重ねることは、個人の幸せ、ひいては公正な経済発展には不可欠です。
本年は、メディアや金融という身の回りにある分野の「リテラシー」向上を皮切りに、誰かの意見に惑わされることなく自己決定に重きを置ける人財を育み、「豊かになれるラシー」社会を実現します。
まちやそこで働くひとたちを「知る」ための地域活性化事業
周南は、新幹線停車駅や港等の外易拠点の存在、大手メーカーの生産拠点があり雇用を生み出していたことから、定住者や観光客が増え、昭和通りをはじめとする繁華街が栄え始めました。しかし、新型感染症の拡大が一つの要因となり、繁華街から人通りがなくなり、店舗自体も減少しています。現状を放置すれば、まちの地域資源を失うとともに、住民や観光客の憩いの場を喪失することとなります。
もっとも、人が少ないところにその日だけ人を呼び込むような方法は、持続可能性のない対処療法であり、課題の根本的な解決とはなりません。
我々の生活を彩ってくれている飲食業界。困っているときだからこそ、青年会議所の存在意義が問われています。課題を生み出している社会構造を分析し、その上で我々青年会議所だから出来る恩返しをしていきます。
仲間を「知る」ための会員交流事業
青年会議所は、発展・成長させる機会の提供を使命(Mission)としています。
しかし、成長の機会とは、言葉ほど簡単なものではありません。例えば、子どもたちに夜、真っ暗なトンネルを通って家に帰るように指示し、成長の機会を与えたとします。一人では、心細く、歩き出せないかもしれません。泣き出して、途中でくじけてしまうかもしれません。それでも、手を取り、寄り添ってくれるパートナーがいれば、必ず家には帰れます。
青年会議所で一番大事なことは、成長を見守る温かさと、誰一人取り残さないという優しさです。強く優しい大人となるため、会員間の交流の機会を大切にしていきます。
組織を知り、伝える術を「知る」ための拡大事業
周南青年会議所は、発展と成長の機会の宝庫です。それは100名近くの多種多彩な会員が互いに刺激し合い、自己研鑽を積み重ねているからです。会員数が今より増えれば、当会は、さらにお互いが高め合う人材育成機関となります。他方、全国的な人口減少、青年経済人の割合減少に伴い、青年会議所会員も減少し、さらに一度会員数が減少し始めた青年会議所は会の存続が危ぶまれる事態にまで陥っており、周南青年会議所も無関係ではありません。
会員数がなし崩し的に減少していくことを回避するためには、正会員数100名の達成・維持が不可欠です。そして目標達成のためには、現役会員全員が一丸となって拡大活動を行う必要があります。
それでは、拡大活動とは、何を意味するものでしょうか。私は、3つの要素によって構成されていると考えます。1つ目は、会員拡大委員会が青年会議所という組織を知る、ということです。なぜなら、勧誘する側が組織の魅力や意義を理解し、アウトプットできなければ、勧誘される側に興味を持ってもらえないからです。そして2つ目は、勧誘活動。そして3つ目は、研修会員の定着です。
本年は、3つの要素を踏まえた拡大活動を会員全員で行い、次年度以降に向けた持続可能な組織づくりを実現します。
同志を「知る」ための球技大会事業
新しいことに挑み、最初の第一歩を踏むリーダーは孤独です。
異なる地域で青年会議所の目的(Vision)達成のため邁進している同志を知ることは、自身を奮い立たせ、よりよい運動を生み出すきっかけにつながります。また、自分たちの活動を見直し、よりよいものを創り出すヒントを得ることもあります。新型感染症の蔓延で、各地青年会議所の仲間との交流の機会を模索し続けている中、山口ブロック協議会内各地青年会議所の垣根を超えた友情を再確認・再構築する機会が必要です。
また、周南青年会議所と山口ブロック協議会との関係性や役割を、会員間で共有する必要があります。
さいごに
会員は、青年会議所から提供される機会を通じて、日々成長をしています。
私自身、青年会議所活動を通じ、多くのことを学ばせていただきました。「今日やらなかったことは、明日もやらない。だから今日やる」「やらない言い訳より、やれる理由を探す」「効率化により余白の時間が生まれれば、余った時間で他に人を感動させる何かがないか考えていたい」といった教訓は、青年会議所活動だけでなく、家庭や仕事でも活きています。
ただ、青年会議所が教えてくれる一番重要なことは、「人」の大切さです。青年会議所の事業の対象は必ず自分以外の誰かです。また、ある先輩からは、「人は人でしか磨けない」と教えていただいたこともあります。何をするにしても自分以外の人がいる、その人のために自分は何をすべきなのか、何が出来るのかなど他者に対し想いを馳せ、人を「知る」ことの大事さを学ぶ。その結果、人に優しくなれる人財になる。このような青年会議所の存在価値を示し、最大化させることに邁進させていただけたらと存じます。

 


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